最近、読んだ「フェラーリと鉄瓶」/奥山清行 著 がとてもおもしろかったです。
奥山さんは、GM、ポルシェのデザイナー、ピニンファリーナのデザインディレクターを経て独立,現在、幅広く活躍されているデザイナーです。
モノを生み出すところから経営にまでおよぶ話は、!!となる部分も多く、様々な国/状況でモノをつくってきた発言には、強さがあります。
「なぜフェラーリは高くても売れるのか」という章では、
フェラーリのビジネスモデルの話が出てきますが、なるほど~の連続です。
F1からホンダが撤退する状況でも、なぜフェラーリがF1に参加し続けるのか?その理由もよくわかります。
あとがきにある
「長く愛され、人に使い続けてもらえるもの。今日よりも明日の暮らしを、より豊かにしてくれるもの。それらを生み出すことができれば、デザイナーにとっては何よりの幸せです。」
という発言には、深く共感します。
モノより人ではなく、あえて「人よりモノ」という発言をしてきた
奥山さんの「強さ」を知りたい方はぜひ。
今週始めから私用で広島に行ってきました。
その足で島根や高知にも寄って前から訪れたかった建築をまわって18日の深夜に帰ってきました。見てきたものをいくつか紹介します。
17日お昼に用事が終わった後、夜の用事まで少し時間がとれたので設計に携わるかもしれない敷地を確認しにホテルから徒歩で移動。
ぼくは、知らない土地を訪れた場合は、時間が許せば歩けるだけ歩きます。
その方が街をゆっくり見れて気づくことが多いですし、歩きながら考えられます。
特に、仕事に関わる場合は、街の雰囲気を感じるためある程度の距離から必ず歩いて向かいます。
地図で大まかに確認した後、敷地に向かう途中、おいしそうなパン屋があったのでおやつがてら買って、なんとなく適当な場所を探してパンをほおばりながら顔をあげると、「あっと」、ある建物に気づきました。
目の前に村野藤吾さん設計の「世界平和記念聖堂」が。。
「お前パンなんか食べてないでこの建築を見ろ」と言われた気分です。
前から訪れたいと思っていた建築をあやうく見逃すところでした。
良かった歩き得だと思ったと同時に自分のうかつさにがっくりしました。
この建築は、村野さんの展示会を東京で見てから訪れたいと思っていた建築のひとつです。
時間を確認して迷わず突入。きょろきょろしているとボランティアのガイドさんが案内してくれるとのこと。
それも運良く、前の人のガイドがちょうど終わって戻ってきたところだったようです。
このガイドさんが面白い。この建築を建てるときのエピソードから建物の細部の物語まで話してくれる。
45mの塔の施工に関わった人の話からドームにつけられたフェニックス像まで、本で読んだり、ひとりで見ていたら知る由もないことをいろいろ教えていただく。
ざっと見せていただいてお礼を言った後、
「ぜひお友達にもここを紹介してください」とガイドさんがおしゃったので「もちろんです」と約束をしました。
みなさんも、広島に行かれたらこの場所を訪れて「桂さん」というガイドさんを探してください。きっと良い時間がすごせます。
世界平和記念聖堂
内部
より高く見せるため先端に向かって細くなっている
塔に設えられた十字架
帰りに、桂さんに聞いた教会の書店に寄って資料を購入。シスターが書店の店員?でしたので若干とまどいましたが、今日は初めてですか? はい、今日は建築を見学にとなんとなく会話を続けて、最後に「良い建築を建ててくださいね。」と笑顔で言っていただけました。
そのとき、シスターにもらった紙にこう書かれていました。
平和を実現する人々は、幸いである。その人たちは神の子と呼ばれる。
(マタイによる福音書5章9節)
世界平和記念聖堂
設計1948年~1949年 1954竣工 RC造、一部木造/地上3階
原爆の犠牲者の慰霊追悼と世界平和のシンボルとして原爆を体験したフーゴ・ラサール神父が建設を決意し、コンペを開催するも一等に該当者が出なかったため、審査員のひとりであった村野藤吾氏が設計をすることになった。
夕食後、もうひとつ寄っておきたい場所があったので、
またまた、徒歩で平和公園へ向かう。
今回で、おそらく3回目、8年ぶりぐらいかと思う。
夜の原爆ドームをみてから、ピースセンターへ
夜見るのは初めてです。
暗いからこそ、この建築のプロポーションが純粋に見えます。
暗いからこそ、気づくことがありますね。
以前来たときは気にならなかったピロティの高さが気になり、
戻ってからピロティの高さに関する資料を探しました。
広島ピースセンター
翌日、広島市から島根県益田市へバスでへ向かう。
山間を抜けて目的地に近づくにつれて、美しい赤茶の石州瓦で統一された、家並みがあらわれます。
3時間ほどで目的地である島根県芸術文化センターの前に。石州瓦で覆われた外観は、見たことの無い輝きを帯びていて非常に魅力的です。期待を膨らませて敷地内に入り、アプローチの階段をみたときに???と疑問が出ましたが、それは後で施設の方のお話で納得できました。
島根県芸術文化センターは、石見美術館といわみ芸術劇場からなる芸術文化施設で総工費168億円を投じた2万㎡近い延べ床面積をもつ大きな施設です。久しぶりにこれほど、大きい施設を訪れたと思います。
エントランスから気持ちの良い中庭に入り周囲を見渡すと、この建築の構成がはっきりわかります。
美術館は、企画展がちょうど終わったらしく、常設展のみまわりました。展示室のひとつは、バルセロナのミロ美術館と同様に扇形断面のハイサイドライトが使われていて10年前に訪れたのを懐かしく思い出しました。
その後、大ホールの見学をお願いしました。通常は、予約が必要とのことでしたが、快くみせて頂きました。----だからといって言うわけではないですが、この施設は、従業員みなさんの印象が良かったです。----大ホールを施設の方にご案内いただき、設計図や書籍などでは知りえない、ユーザー側、管理側の視点から貴重なお話を聞かせていただきました。この施設が長い間活躍することを願い、帰路に。
この建築を訪れるためだけに往復6hもかけて広島から来たかいがありました。そして、帰りのバスへ乗り、広島で乗り換えてそのまま高知へ。
ハード。笑)
45m四方の中庭
大ホールホワイエ
1500席の大ホール
ライブラリーと一体となった美術館ロビー